平和な昼下がりの突然の悲劇

人間油断してるととんでもない目に遭います。いやはやそう思わざるを得ませんでした。


日曜日のある日(って今日なんだけどさ)。ドイツの某所からダブリンまで戻るという日。この日は諸般の事情により一人で畑の中にぽつんとあるバス停からバスで駅まで出て、駅からS-bahn(近郊列車)を乗り継いで空港まで行こうという計画。空港には出発の70分前に到着。ま、悪くない計画…だと思ってました。ふたを開けるととんでもないことになったわけですが。


まず、某市某所のバス停。一時間に1本しかないバスに乗るために殊勝にも通過予定時刻の10分前にバス停に着いた私。音楽を聴きながらのんびり待っていたのだが、通過予定時刻になってもバスが来ない。最初は若干遅れているだけかと思ったけど5分経ち、10分経ってさすがの私もおかしいと思い始めた。そもそも、私が待っているのはダブリンバスじゃない


だいたい乗り換えの駅では30分に一度の列車との接続時間が15分しかないからそれ以上遅れると次の列車になり、空港への到着時刻は一気に間に合うかどうかの瀬戸際になる。ましてや悠長に次のバスなど待っていたらヒコーキは行ってしまう。やばい。


かくしてタクシーを拾おうと思ったがドイツの田舎のこと、幹線道路沿いなのに流しのタクシーなど一台も走っていない。この点では流しのタクシーがばんばん走っているダブリンは実はすごいかも(ってそれだけほかの公共交通機関が信用できないってことに他ならないんですが)。まわりは何でこんなとこにあるんだろうと思うくらい畑の中にポツリとあるバス停で、あるのはなぜかジムが一軒。


バス停にはほかに2名の地元民と見られる人間が待っていたが、対向車線に止まった友人と思われる車で行き先とは反対方向に走り去ってしまった(同じ方向だったら乗せてと頼んだかも)。ぽつねんと残された私一人。


こんなとき、あなたならどうします?頼れるのは自分だけ。私はバス停の脇にあるジムに走りこみました。


面白みのない外見からは想像できないくらい中はこぎれいで近代的。受付のお姉さんに


(どうしようもないトホホドイツ語で)私:「お願いっ!タクシー呼んで!」


私の鬼気迫る顔に気おされたか受付のお姉さんはすぐにタクシーを呼んでくれました。その間にひでかすに電話をして列車の時刻を調べてもらう。タクシーも10分くらいで来まして、駅までタクシー。思えばドイツで初めてタクシーに乗ったことになる。あ、思えばまともなお礼をしていないので次回チョコレートでも持ってお礼に行こう。


外国でタクシーに乗るというのは少なからず緊張するもんです。さすがにドイツならぼったくりや意味のない遠回りなどしないと思うが、何せ時間がない。慌てても仕方がないと思うが気は焦る。


およそ10分でタクシーは駅に到着。10ユーロで「釣りはいらん!」と降りる。降りるほどなく前に着いたひでかすのSMS(ケータイのメッセージ)の通り、乗ろうとしていた列車のおおよそ30分後にもう1本別の列車がある。しかも、この列車は乗りかえるはずだった途中の中央駅からさらに空港のひとつ手前の駅まで乗り換えなしでいける(空港駅は地下鉄千代田線の北綾瀬、あるいは京王線の府中競馬正門前のように盲腸線になっている…と一部の人にしかわからないたとえをしてみる)。これはラッキー。最悪の事態としても、空港のひとつ手前の駅からタクシーに乗れば間に合う(タクシーが待機しているかどうかは疑問だが)。こりゃもう大丈夫だ。


中央駅に到着。ここで話が終わっていれば、日記のネタになどしなかった。車内のドイツ語の自動音声での案内が恐ろしいことを言う。


「次は中央駅、終点です。どなた様もお降りください」


えええ?この列車、空港のひとつ手前の駅まで行くんじゃなかったの?


中央駅ホームにはドイツ国鉄のシンボルカラーである赤いスカーフをした係員が待っており、聞けば、よりによってこの日のこの時間だけ空港近くで保線作業のためにバスでの代替輸送を行っているという。かくしてこの列車はここで運転打ち切り。で、代替バスが出るのは今からおおよそ20分後で、それに乗ると空港に到着するのはヒコーキ出発の30分前。


すでにケータイで搭乗手続きをしているので搭乗手続きが締め切られる30分前をちょっと過ぎても空港に着けばなんとか間に合うだろうけどなんにせよ危険。しかも代替バスが出るのは中央駅からではなく途中駅から。万が一にも代替バスが仮に5分でも遅れたらもう文句なくヒコーキに乗り遅れる。さらにさらに、途中に代替バスをはさんで到着時刻がいつもと変わらないというのは明らかにおかしい。信用できない。数秒考えて得た結論は…


「タクシー!」


かくして、本日2度目のタクシー。さすが中央駅。タクシーは乗り場に相当数が待機しておりまして、結局出発1時間前に無事に空港に到着。最初のタクシーとあわせて33ユーロの無駄な出費。ちなみにバスがちゃんと来ていれば、1.7ユーロで済むところでした。


今回、タクシーという力技で無事に到着しましたが、バスが来ないという可能性を見越さずに空港に1時間前に到着という計画を立てた己の認識の甘さを反省いたしました。久しぶりに冷や汗をかきました。皆様、空港には早めに到着するように計画しましょう。


…ってかさ、あのバス停でバスが来なかったの今回が2回目なんだよな。学習能力がない自分が一番アホタレだなと思います。