【なぜか上海10】上海の驚愕エレベーターガール

5日目。金曜日。今日こそサーバーが届くに違いない(というか、届かないともうゲームオーバー)。期待というか一縷の望みをつないで、今朝も早めに午前9時半に出勤。


現地の責任者:「サーバー、午後2時くらいに配達だって」


…早く来たのに。


こうして、ますます予定が遅れていきます。今日はサーバーが午前中に届くと想定しての無理筋の計画を立てていたのですが、その無理筋の計画も無理な感じになってきた。


そして午後2時、百年も待ち焦がれたサーバーが、苦節一月以上、どこをどうさまよっていたのかようやく到着…したと聞き、早速ビルの外へ。


すでにサーバーはトラックから運び出されており、台車に乗せられている。ちなみに、サーバーサーバーといい続けてますが、ほかにもいろいろ運ばれてきてるので、全部で数百キロの機械が運ばれてきました。


…が、搬入される様子がない。なんか様子が変だ。よく見ると、配送会社(某ドイツ系の黄色い運送会社)が委託した大型トラックの運転手、助手2名以外にも私の会社の関係者2名、さらにはほかの会社の人間2名が中国語でもめている。


威張って言うことじゃないでしょうが、私中国語を理解しません。その上で、なんか中国語の会話ってけんかしているように聞こえるというか、荒いというか、地声が大きい人が多いのかもしれませんが、とにかくけんか腰に聞こえるのね。様子を伺う。


様子を伺うこと数分で中国語はわからないものの、何でもめているかは十分に理解できた。運送会社が大口の荷物だったせいか、大型のトラックで乗りつけたのだが、これが、地下の搬入口の高さ制限に引っかかるらしく、地下搬入口に乗りつけることができなかったらしい。やむを得ないので、地上階で荷物を降ろし、搬入しようとしたのだが、地上階は実は別の会社のお客さんがフツーに出入りするロビー。そんなところに薄汚れたダンボールを乗せた台車が通ることはまかりならぬと地上階のテナントさんからクレームがついたようなのだ。それで、私の会社とは無関係の人間まであーだこーだ文句を言っているというわけ。


問題はそれだけなんですよ。だけどさあ、何いってるか知らないけどいつまでもけんか腰で(というふうにしか私には見えない)大の大人7-8人が揉めてるの。そのうち、地上階の会社の責任者っぽい人とか、ビルのガードマンなどだんだん人が増えてますます収拾がつかない状態に。


決められない政治って、日本だけの問題じゃなかったんですね。


もうかれこれ20分以上経ったろうか、この大の大人グループが私に言わせればとんでもない暴挙に出る。搬入口から出てきたバンに


「ちょっと、このバン貸して」


…いや、ない、ありえない。バンの運転手さんだってきっと次の配送とかで忙しいだろうに、貸してくれるわけないじゃん。ほーら、行っちゃった。


数分後、今度は配達に来た郵便局のバンに同じことやってる。


交渉成立。


…あ、ありえないって。


そして、中国郵便のバンに荷物を載せ終わったころに到着したのは…


…自社便のバン。


そんなこんなでようやくサーバーが中国郵便のバンにより地下の搬入口まで運ばれた。ただね、これは未だに道半ば。だって、このサーバーを二十数階の私の勤める会社まで運ばないことにはどうにもならない。


このビル、高層ビルですから、当然二桁の数の客用高速エレベーターが設置されてます。でもね、客用エレベーターは荷物の搬送禁止。裏側に業務用エレベーターがあるわけです。通常なら私は汗水たらして荷物を運ぶ羽目になるのですが今日は違った。今日は偉そうに現場監督。だって、どっから来たのか人がわさわさいるんだもん。現場監督といえば響きはいいが、中国語なんて話せないんだから、ただ馬鹿面して見てるだけ。


そんな馬鹿面の私の目にとんでもないものが飛び込んできた。


上海版エレベーターガール


うーん、ぱっと撮ったのでいまいちうまく撮れてないのが口惜しいけど、この業務用エレベーターの中に(少なくとも30年前は)若い女性が乗っていて、このエレベーターを仕切っているのだ。しかも、机といすを持ち込んで。こっちの業務用エレベーターだって高速エレベーターに違いない。こんなもんに一日乗ってたら酔ったりしないのだろうか。だって、フツーに乗ってるだけで耳に違和感覚えるよ。


そうそう、エレベーター。客用のも含めて三菱電機謹製。なので、エレベーターの到着のときに鳴る音とかが日本のそれとまったく一緒なの。なのに、中国語で「1階です」とか言われるとこちらもすごく違和感がある。


かくして、荷物到着から1時間以上経過してようやく運び込まれたサーバーたち。もちろんここで終わりではない。むしろここが始まりでして、私は梱包されたサーバーを箱から出さなければいけない。


箱を開けて中身を改めていたら、電話会社がやってきた。サーバーラック(サーバーを取り付ける棚)にスイッチ(交換機)を取り付けたいという。はいはい、どうぞと思ったが、リアマウント(ラックの後部への取り付け)を命じたのにフロントマウント(前部ね)にしそうになるなど、見てないと何をしでかすかわからないので結局現場監督をする羽目に。こうしてますます予定が遅れていく。


そうして中身の検品がすんで、ようやくサーバーを取り付けることができるようになった時には午後8時を過ぎていた。サーバーって(ものにもよるけど)重いのよ。ラックがいっぱいになってたら重さの単位はトン単位近くまでいくんじゃないだろうか。なので、一人で持ち上げることはできてもそれを設置するのは無理。そこで、便利屋さんを一人お願いしておいた。約束の時間通りに便利屋さんはやってきた。


私:「私の言ってることわかります?」
便利屋さん:「…」


…ですよねー。


でも人間その気になれば何とかなるものです。この便利屋さんに指示を出してなんとかサーバーの設置に成功。それからスイッチだのを取り付けていたら時刻は11時に。やっちゃおれん…帰ろう。