【ドバイ出張記8】初出勤

朝6時半起床…と行きたかったが、二日前は90分、昨晩は3時間くらいしか寝てないわ(ヒコーキの中で寝てはいたのだが…)で無理。アイルランド時間では午前2時半だし。なんとか起き上がってはみたが体が動かない。朝食はホテルでありがちなビュッフェ形式。時間がなかったので、クロワッサンなどを食べて飛び出す。ちなみに、日ごろ朝ごはんなど食べないものだから後で気分が悪くなった。


ホテルの入り口からタクシーに乗るが、運転手さん、いまいち会社の場所がわからない模様。会社の地図を印刷したのだが、それを見事にダブリンの自宅に忘れてきたので、しょうがないからPC内に保存してあった地図を見せ会社へ。


会社に着いたのは8時15分。15分遅刻。


会社は…どこにあるのかよくわからないが、どう見ても街の中心ではなく町外れ。近所にでかいショッピングセンターがあると聞いていたのだが、そこですら、徒歩で行くにはきつい距離(タクシーで数分かかった)。ちなみにタクシーの運転手、地図を見せたのに迷子になって一度Uターンする羽目になった。


ちなみに外気温は…ひたすらに快適。後で聞いたが、砂嵐とやらで、直射日光がさえぎられているらしい。かなり珍しいことだそうな。


私、幸か不幸か転校ということをしたことがない。なんだけど、この日、転校生の気持ちがよくわかった。なんかさ、会社はまだ引っ越したばかりでピカピカしてて、しかもでかいビル。いや、ビルがでかけりゃ会社がでかいなんて、子供のマンガの世界の論理ですよ(しかも、私の勤める会社はそのでかいビルの一部を間借りしてるだけだし)。まあ、四の五の言っても緊張するわ。


回転ドアーの向こうには受付があって、そこにはおそらくインド人かそこいらの女性が座っている…しかもふたりも。さらにその奥にはセキュリティ(ガードマン)が立っている。、


会社の受付。これならぎりぎりばれないべ。


私:「あのー、すいません。ダブリンのXX社から参りました者ですが…」
受付:「エレベーターで二階へどうぞ」


あっさり関門通過。


エレベーターでいわれたとおりに2階へ。ここでいいのかしらとおずおずしながら事務所に入ると…おお、地獄に仏(はあまりに大げさか)知った顔がいる。


で、これからダブリンへ飛び立つ支社のアイチー担当者からあーだこーだと引継ぎを受けたのだが…ぜんぜん耳に入ってこなかった。頭の中は…


眠い


のみ。完全に脳みそは脱脂綿状態で前に誰かのエッセイで読んだように、頭の中が脱脂綿ならぬいぐるみと一緒だから、人の話は聞かなくてもいいんだ…などとわけのわからんことを考え始める。朝の10時ごろにはもう眠気は限界を超えて、こりゃサーバー室で寝るかなどととんでもないことが頭をよぎる。


引継ぎが終わると、ダブリンに行くここのアイチー担当者はヒコーキに乗るために退社。そう、わざわざ待っていてくれたのね。なのに、眠くてほとんど話を聞いてなかったとんでもない私。なんか起こったらどーするつもりなんだろう。


オフィスの中。中の人は圧倒的にインドやフィリピンを含めたアジア人が多い(この理由は後でわかってきます)。他社を含めたビル全体でもおそらく日本人は私だけ。見た感じ中国人もいない。


事務所の何に驚いたかって、「オフィスボーイ」って人がいるの。そういえば、日本にはOLとかいう和製英語があるけど、こっちは男の話。この人に頼めば、お茶も淹れてくれるし、コピーもとってくれるからいつでも内線で連絡してね…といわれたのだが、件のオフィスボーイは私の机から10メートル離れていないところに座っている。「おーい」って言えば聞こえる人のところに内線電話で「コーヒーひとつ」などという気にはならないし、ましてや、人をあごで使うという文化というか習慣は私の中にはない。


休憩時間、階下にカフェテリアがあるというので行ってみた。そこで見つけたもの。


元気ハツラツ オロナミンC。


大村昆の顔が浮かんだ私は完全に昭和ですが、これは嬉しいぞ。アイルランドには売ってないもん。オロナミンC。そういえば、昔、このテの炭酸が好きで、いつもデカビタとかビンビタとかよく買ってたなあ。あ、オロナミンCは「正統派ながら量が少ない」という印象だったのであまり買ってなかったのです。


ちなみにオロナミンCはAED3.5なり。7-80円の計算。安いな。


その後、のどが渇いたので給湯室へ。水でも飲もうとアイルランドでもおなじみの給水機の栓をひねる。次の瞬間


ぐわっちっちっ


と一人むなしく大騒ぎする私。な、なんだー、給水機から熱湯が出たぞ。


結論から言うと、この給水機は給湯器でもあったの。左の青いノズルは熱湯。右のノズルは水。


…って、それ、どー考えても罠だろ。日本だってアイルランドだって、青いノズルは冷水、白いノズルは常温の水だって決まってるぞ。


Snigel。初日にしてアラブの罠にハマる。


そんなこんなで初日の勤務は終了。優雅にタクシーでホテルに戻る。